機能性ディスペプシア(FD)、胃の不調の症例
症例4 胃カメラ後からの胃の不快感
患者
男性 札幌市在住 鍼灸経験あり
来院
2020年12月
症状
過去に胃炎、逆流性食道炎を患っていたため、毎年胃の検査をしている。
今月胃の検査を行った後から胃の不快感がとれなくなった。
検査後からの不調は
- 胃をつかまれるような不快感
- 食後は数時間気持さが続く
- 固形物をとると悪化するため、おかゆ、ゼリー、バナナなどを食べている
ホームページを見てご連絡いただきました。
施術内容と経過
初診時
みぞおちエリアが強く張っていました。みぞおちを緩めるよう手足のツボや背中のツボに鍼をして施術を終えました。
2回目
だいぶ良くなったとご報告いただき、現在は食べ過ぎると不快感が出る状態とのことでした。
初回と同じツボを使い、施術を行いました。
3回目
胃の症状は落ち着いたため、胃の施術は終え、腰痛や肩こりをメインに施術することになりました。
通院回数、通院間隔
二週間で3回(その後、ほかの症状で通院)
同時に施術を行った症状
肩こり、腰痛
使用した主なツボ
手三里LR、四とくLR、T5T6(4)R、ちくひんLR
考察
今回の患者さんは、はっきりとしたみぞおちの硬さがありました。
胃の不調が全くない場合は、手でみぞおちを圧迫されても特に感じない場合が多いですが、不調があるとみぞおちの圧迫は不快に感じます。ですので、みぞおちが固くなり常に周囲の圧が高まっている状態は慢性的な胃の不快感に直結すると考えてます。
今回のケースでもみぞおちの硬さを調整することで、早期改善につながったと考えられるケースでした。
症例3 胸やけ、胸の痛み、みぞおちの不快感、原因不明の胃炎・逆流性食道炎
患者
女性 40代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年8月~10月
症状
2019年2月頃から喉に酸っぱい感じが上がってきたり、胸やけするようになってきた。
その後、前かがみになると胸がズキズキするようになってきた為、消化器内科にて胃カメラ検査を受けた。胃と食道に炎症があるといわれ胃炎と逆流性食道炎の薬を処方してもらい使用していたが良くならなかった。
耳鼻科にも行き、鼻からカメラを入れたがやはり原因はわからなかった。
食事なども気を付け、お酢など酸が強い物や、生の玉ねぎなどをとらないようしていたが変わらない。のどが詰まったような感覚もある。
鍼灸治療も受けてみたいとインターネットで腹部症状の治療をしている鍼灸院を探し、ご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
みぞおちの上部を押すと強い不快感を感じるエリアを確認した。そのエリアを緩める作用のあるふくらはぎのツボに鍼をした。また、下腹部を押すとみぞおちに不快感を感じるエリアもあった為、それと関連する足首のツボに鍼をした。
圧迫した際の不快感が改善したため初回の施術を終えた。
2回目~5回目
喉がひりひりする感覚は改善された。みぞおちの不快感はある。
6回目から10回目
みぞおちの不快感も改善され、前かがみ動作で感じる胸の痛みも少なくなった。
11回目
のど・みぞおちの辛さはない。胸の痛みもほとんどなくなったため施術を終了した。
同時に施術を行った症状
頭痛
使用した主なツボ
築賓LR、三陰交LR、曲泉R、
考察
みぞおちの緊張を調整して改善した症例。
みぞおちをかるく押しただけで強い不快感は感じる場合、おそらくみぞおちは緊張している。
薬で改善しない場合、どうすればいいか改善に悩む症状だが、みぞおちの緊張を調整することが出来れば改善する可能性がある。
症例2 機能性ディスペプシア
食あたりを起こしてから治らない「胸やけ」「吐き気」「のどの詰まった感じ」
患者
男性 30代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年 5月
症状
2019年1月にケーキや、フライドチキンを食べた後、「胸やけ」、「吐き気」を感じた。
消化器内科にて胃カメラ検査を行ったが異常はみられず「機能性ディスペプシア」と診断された。
その症状はその後も続き、「胸やけ」、「吐き気」以外にも、「のどの詰まる感じ」、「口の中がすっぱい」、などの症状も出るようになった。
症状は日により変動し、特に胃がもたれそうなものを食べたときは必ず調子が悪くなり、気持ち悪さで夜寝られない状態になる。食事に気を付けている日でも夜になると症状が強くなる傾向がある。
Twitterで機能性ディスペプシアに鍼灸が効くことを知り、当院にご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の触診を行うと、緊張が強く、圧すと不快感が強いエリアが確認できた。
そこに対応するふくらはぎのツボに鍼をした。
次に吐き気に関係する背中の緊張も確認できたため、そこに対応する膝のツボに鍼をした。さらに喉の調整も行い初回の施術を終了した。
2回目
前回後、二日間ほど大きな変化はみられなかったが、三日目から調子がよく、二回目来院時まで胸やけ吐き気がほとんどなかった。
喉の詰まり感も少ない。
初回同様に施術を行った。
3回目
症状感じずに生活できている。しいて言えば喉の詰まり感が少し残っている。
喉の詰まりを中心に施術を行い、症状も安定していたため、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
なし
使用した主なツボ
築賓LR、曲泉LR、元瑠L
考察
一度体調を崩したことがきっかけとなり発症したと考えられるFD。
ウイルス性の胃腸炎や、風邪などで嘔吐したり、胃の不快感を感じると体は不調な部位を守るため緊張を作る。
その緊張は胃腸炎などが完治した後も、緊張を残すことがある。
本症例は、食あたり後も周囲の緊張が解けず、その緊張から不快感が継続したものと考えられる。
症例1 のどの詰まりと胸やけ、胃痛がつらい機能性ディスペプシア(FD)
患者
女性 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年3月
症状
胸やけ、胃痛、のどの詰まり感、吐き気がある。
2018年5月に消化器内科を受診、胃カメラなど検査を行ったが異常なし、胃酸が多いといわれるも原因不明、機能性ディスペプシア(FD)の診断を受けた。
薬(ネキシウム、ガスモチン)を処方してもらい使用したが、効果を感じられなかった。
2019年1月に胃腸炎になり、その後、胃の症状が以前より強くなった。
症状がだんだん強くなっていることから、インターネットで治療法を調べ、当院が胃腸症状を治療していることを知り、ご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の状態を確認すると、みぞおちの部分に硬さがあり、軽く押すだけでも不快感があった。その緊張を調整するため、関係する前腕のツボとふくらはぎのツボに鍼をした。
再度触診で確認し、みぞおちの不快感が減っていたため、初回の施術を終了した。
2~4回目
初回後、喉のつまり感が減り、胃の症状も半分ほどになったため、みぞおちの緊張を調整する施術を繰り返した。
4回目には不快感が気にならなくなり、揚げ物を食べても大丈夫な状態になった。
5~6回目
症状が安定しているため、施術間隔を5回目には1週間後、6回目には2週間後と伸ばしたが悪化することなく安定していたため、施術を終了した。
その後、ご本人のご希望により、月に一度メンテナンス目的の施術をおこなっている。
同時に施術を行った症状
肩こり
使用した主なツボ
四讀LR、築賓LR、開魄R、三陰交LR
考察
喉の詰まり感や、胃のあたりの不快感は周囲の筋肉が緊張することで圧迫され感じている場合がある。この場合、胃腸を整える薬を使っても、周囲の緊張を調整しなければ効果は少ないと考えられる。
不快感があるところを触り、もし緊張が強ければ、その緊張がゆるむことで症状が改善する可能性が高い。