腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、脊柱を構成する骨である腰椎の間にある椎間板から髄核(ずいかく:椎間板の中にあるゼラチン状の物)が飛び出した状態のことを言います。
ヘルニアとはラテン語で「本来あるべき場所から脱出した状態」を意味します。
その為、頚椎ヘルニアや鼠経ヘルニアのど、腰以外に対しても使う用語です。
腰椎椎間板ヘルニアはタイプにもよりますが数ヶ月で小さくなることが知られており、積極的に手術せずとも治る可能性があります。
日本脊髄外科学会によれば、80~85%は自然に軽快すると報告されています。
つまり、腰椎椎間板ヘルニアと診断されたとしても、すぐ手術と悲観する必要はないのです。
まずは保存療法(手術以外の治療法)を考えましょう。
ただし、歩行困難なほどのしびれや麻痺、排尿障害(トイレのことが思うようにできない、気づかないうちにでてしまう)がある場合は、手術が必要です。
痛みの正体はなにか?
腰や下肢に痛みがあり、腰椎椎間板ヘルニアと診断を受けた方は、当然この痛みはヘルニアが原因と考えるでしょう。
しかし、腰痛が無い人の画像を撮っても腰椎椎間板ヘルニアになっていることもあります。
そうなると、ヘルニア=痛いとは言えません。
身体の痛みは痛い場所が悪いとは限りません。そこに負担をかけている原因が必ずあります。
臨床で多いのは、股関節やモモ裏、ふくらはぎなど下肢の緊張が強く、背中の動きが悪い事で腰への負担がかかり過ぎたために起こる腰痛です。
勿論、様々な腰痛のタイプがある為、見極めることが必要です。
また、下肢の痛みもヘルニアだけではなく、臀部の緊張が強いことが原因であったり、下肢への血流が不良なことが原因であったりする為、原因を見つけなければなりません。
正しい痛みの原因を見極めなければ、痛みを改善させることは出来ません。
整形外科での治療法
整形外科では、主に痛み止めなどの投薬治療、ブロック注射、リハビリ、手術、などを行います。
鍼灸の治療法
腰部へ負担をかけている原因を見つけ、そこの動きを改善させることを目的に鍼をします。
例えば、モモ裏の硬さが腰痛の原因になっていると考えられる場合、モモ裏に関係が深い背中のツボに鍼をすることで、モモ裏の硬さが改善され、結果腰の痛みが改善されるというやり方です。
腰部に直接鍼をすることは、あまりありません。
痛い場所を刺激しない為、悪化するリスクも避けることが出来ます。
腰痛の原因が一つではない場合も多い為、原因の一つ一つ丁寧に治療します。